個展に寄せて

日展会員 明石春浦
このたび、秀香さんが、個展を開くことになった。

厳しい刀匠一家の風気のなかで長じた人だけに、その心を書の心とし、書に執念をもやしている。一見、女らしく、ほのかな薫香を漂わせてやさしく見えるが、男のような強さを潜在させている。

秀香さんの作風には、二つの顔がある。
一つは瓢々とした単体作品で、温雅の中に深みを感じさせ、明るく素朴でいかにも東北人らしい雰囲気を現代感覚で魅力的に表現する作品である。

また一つは直線と曲線を大胆にリズミカルに表現する連綿体がある。拡張品位共に高く単体と違った新鮮味のある作風は自由奔放、伸びやかさの中に潤渇大小を厳しい線に心地よく響かせ、観る者の心を十分とらえた感性豊かな実力を秘めた作品で地方展にはめずらしく、将来中央書壇で大いに活躍を期待される一人でなかろうか。

私はここに、秀香さんのより良き発展を願うと同時に、一人でも多くの方々に御高覧、御支援を御願いする次第である。